ステッチが運営するポッドキャスト「ヒトバタラジオ」に、SHIBUYA109 lab.所長・長田麻衣さんをゲストにお招きし、全3回にわたってお話を伺いました。若者研究の最前線で毎月200人の若者と対話し続けてきた長田さんが語る「Z世代のリアル」は、マーケティングにも採用にも、すぐに使えるヒントが詰まっています。この記事では、その収録内容のエッセンスをギュッとまとめました。より深く聴きたい方は、ぜひヒトバタラジオでポッドキャスト本編をお聴きください。この記事を読むとわかることZ世代の行動を読み解く4つのキーワード採用・マネジメントで今すぐ使える実践的な知見Z世代に「信頼される企業」になるためのコミュニケーション戦略ゲスト株式会社SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長長田麻衣さんZ世代を理解する4つのキーワード不安「彼らの年表を見ていくと、リーマンショック、東日本大震災、コロナ、物価高…ずっと不安定な状態が続いている」—— 長田さんはZ世代が育ってきた時代背景をこう振り返ります。この環境から生まれるのが「何かあっても大丈夫なように、着実に備えておきたい」という心理で、「メンタルが弱いということに繋がってるわけじゃない」と長田さんは否定します。不確実な時代を生き抜くための備えとして、こうした心理が生まれているというのが長田さんの見立てです。宮田さんも「自分が育った頃は、安定した会社や仕事こそが正解というイメージがあった」と話しており、10年違えば価値観も大きく変わるのだと実感できるやりとりでした。分散収入もスキルも、自分のキャラクターまで「分散」させるのがZ世代の特徴だと長田さんは言います。「SNSのアカウントを一人で3つくらい持っていて、学校の友達にはこういう自分、推し活の友達にはこういう自分と使い分けている」というエピソードも。ファッションも場面によってまったく変わるそうで、「前回インタビューで会った時と服の雰囲気が違いすぎて気づけないことがある」と長田さんが笑いながら話してくれました。長田さんは「コミュニティの調和をそれぞれで取るために、自分の個性を分散させておくみたいな感じなのかな」と話してくれました。収入源を副業で複数持つことも、同じ発想から来ているようです。WHY(なぜ)を求める「なんでこの仕事があるのかとか、背景を知りたがるというのはすごく強い世代」で「いいからやれ」という指示だけでは「なんでこんな非効率なことをしなきゃいけないんだろう」とモチベーションが下がってしまうそうです。一方で、理由を丁寧に説明されると納得感を持って動いてくれる。今の若い世代はその傾向がさらに強い、というのが長田さんの見方です。高瀬さんも「より合理性を求めているということなんですかね」と受けており、世代を超えて共通する感覚であることが伝わってきました。デジタル(情報収集はレコメンドから)「まず調べる場所がSNSになっている」と長田さんからお話があり、InstagramやTikTokを開き、AIがレコメンドしてくる情報の中から「これ気になる」と思ったものを深掘りしていくスタイルが基本です。能動的にキーワードを打ち込んで調べるより、「情報を浴びている中から好きなものをピックアップする」受動的な情報収集が出発点になっているとのこと。誰がすすめているか(インフルエンサーへの信頼)と、コメント欄のリアクション(第三者の声)で信憑性を判断しているという話に、高瀬さんが「完全に構造が変わってきている」と驚いていたのが、世代間のリアルなギャップを感じさせました。採用・マネジメントで使える実践知「ゆるい職場」の誤解を解く「ゆるい職場に魅力を感じる」と答えたZ世代は約60%でした。この数字だけ見ると「やる気がないのでは?」と思いたくなりますが、長田さんはそう結論づけるのは早いと言います。同じ調査で「自分の市場価値を上げたい」と答えた人は約75%にのぼるからです。「"ゆるい"とは怠けたいということではなく、髪色・服装の規定が少ない、上下関係が厳しくない、ノルマがないといった窮屈さからの自由を求めているイメージが強い。逆に緩すぎる会社には行きたくないという声もインタビューでは出てくる」というのも、興味深いポイントでした。「アットホームな職場」は要注意ワード若者が「この企業は避けよう」と感じた言葉の1位が「アットホームな職場」というものでした。「温かい職場のイメージで使いがちなんですけど、今の子たちは『めちゃくちゃ仲良くしなきゃいけないんじゃないか』『距離感を自分で調節できなそう』と感じてしまう」と長田さん。採用広報でよかれと思って使ってきた言葉が、Z世代には逆効果になっている可能性があります。自社の言葉を、彼らの視点から一度見直してみる価値がありそうです。本音を引き出すには「安心できる場」から「最初からなんでも本音を言ってよと言われても、どう受け取られるかわからなくて困る」—— 長田さんはZ世代の視点でこう話します。まずは雑談や日頃のやりとりの中で「この人には何を言っても大丈夫」という安心感を積み重ねることが先決です。また、Z世代は電話が苦手な一方でチャットに慣れているという話も印象的でした。「電話する前に『今電話してもいいですか?』とチャットで一言入れるだけで安心感が全然違う」と長田さん。グループチャットへの反応が薄い悩みを話した宮田さんに対しては、「確認できたらこのスタンプを押してください、と指定しておくと押してくれますよ」という具体的なアドバイスも。ハラスメントを恐れず伝えるには「チーム戦」で後輩へ指導しようとするときの話題で、「一対一で完結しようとするから、双方にリスクが生まれる。フィードバックの前に周囲の先輩に事前共有し、後でそっとフォローしてもらえる体制をつくる「チーム戦」のアプローチ」を提案してくれました。さらに、フィードバックを受け入れてもらうための工夫として、「これはあなたの人格ではなく、仕事アカウントに対して言っている」とSNSのアカウント使い分けに例えて伝えると、すんなり「なるほど」と受け取ってもらいやすいとのこと。Z世代が日常的に使っている概念に乗せて伝えるのがポイントです。Z世代が求める「理想の上司」像調査前、長田さん自身は「カリスマ性があるリーダー像が上位に来るだろう」と予想していたそうですが、実際の結果は真逆でした。Z世代が求める上司像の上位は「丁寧に優しく教えてくれる」「話しかけやすい」。しかも高校生に聞いた「理想の部活の先輩像」とほぼ同じ結果だったそうです。「背中で引っ張ってくれるというより、肩を組んで一緒に歩いていってくれるような構造が求められている」という長田さんの言葉が、この世代との向き合い方を端的に表していると感じます。Z世代に信頼される企業コミュニケーション「界隈」という新しい消費単位を知る長田さんが今注目する概念が「界隈」です。コミュニティほど枠組みが固くなく、「熱量と共感でゆるくつながる集まり」のこと。日記界隈、編み物界隈のように無数に細分化・多様化した界隈の中で消費が生まれており、「マスから始めるより、界隈から始めて少しずつ他の界隈に伝播させていく方が大事になっている」と長田さんは言います。面白いのは、一見無関係に見える界隈同士が、根底にある欲求でつながっているケースがあること。日記界隈と編み物界隈を調べてみると、どちらも「内省の時間を持ちたい」「継続して一つのものを完成させたい」という共通の欲求が浮かび上がってきたそうです。「根底にある欲求が何で、それを満たすのに他の方法は何があるのかっていうのが、他の界隈に繋がってくアクセスの仕方のコツ」といった長田さんのお話しは、ビジネスの仕方を考えるきっかけになりました。インフルエンサー活用はフォロワー数より「文脈」「フォロワー数よりも大事なのは、そのインフルエンサーがフォロワーとどういう文脈でつながっているか」という話が印象的でした。たとえばシャンプーのPR投稿のコメント欄が「〇〇ちゃん今日も可愛い」ばかりでは、ブランドへの興味は生まれません。インフルエンサーの日常の文脈の中に、ブランドをどう溶け込ませるかが設計のカギです。「言わせたいことを言わせるのではなく、どう紹介してくれるかも任せてしまうくらいの気持ちの方がうまくいくことが多い」という長田さんの言葉に、宮田さんも「コントロールしすぎると、ファンには伝わってしまう」と深くうなずいていました。信頼される企業の条件は「透明性」と「一貫性」「リアルかフェイクかという言葉がよく出てくるようになったが、企業にも同じことが言える」社外向けの発信と社内の実態にギャップがあるとすぐに気づかれてしまい、「いいことしか言ってない企業」より「課題も含めて開示してくれる企業」の方が信頼されるそうです。「SNSやポッドキャストで社員が自然に話している姿は、透明性や一貫性を判断してもらえる材料になる」という長田さんの言葉は、ヒトバタラジオを運営するステッチにとっても、背中を押してもらえるひと言でした。SNSは瞬間風速ではなく継続的な発信で「界隈は村っぽいところがある」—— バズに乗って突然参入しても「なぜ今?」と違和感を持たれ、「自分たちの文脈を搾取された」とすら感じられることも。逆に、日頃から同じプラットフォームで発信を続けてきた企業がトレンドに乗ると、「わかってるな」と受け入れてもらえる。継続こそが信頼の土台、というのが長田さんの一貫したメッセージでした。おわりに世代が違うから理解できない、ではなく——背景を知ると、Z世代の行動はとても合理的に見えてきます。今回の長田さんのお話は、「なぜ彼らはこう動くのか」という問いへの、丁寧な答えにあふれていました。ポッドキャスト本編では、より豊かなエピソードや具体的なエピソードとともにお聴きいただけます。⇒ ヒトバタラジオを聴く採用・マネジメントのお悩みはお気軽に「育成に取り組みたいけど、何から始めればいいか分からない」「制度を作っても形骸化してしまう」——そんなお悩みを、ポッドキャストのフォームからぜひお寄せください。いただいたお声は、今後の配信テーマにも活かしていきます。⇒ お悩み・質問を送る採用戦略から広報・制作まで、まるごと任せたいならステッチの採用支援サービス「ヒトハダジンジン」では、採用戦略の立案から、広報コンテンツの企画・制作まで一気通貫でサポートします。「人が育つ会社」をつくるための発信や採用ブランディングを、一緒に設計しませんか?⇒ ヒトハダジンジンについて詳しく見る